近視について
近視とは
近視とは、「眼球の形が前後方向に長くなって、目の中に入った光線がピントが合う位置が網膜より前になっている状態」です。
近視の原因
近視になる原因には、大きく分けて「遺伝要因」と「環境要因」があります。
強い近視は「遺伝要因」の影響が大きく、軽度の近視では「環境要因」が強いと考えられています。両方が関与する場合もあります。
環境要因
その原因としてパソコン・ゲーム機・携帯電話でのメールなど、近くを注視する機会が増えて「環境要因」による近視化を招きやすくなったためと考えられています。
近視の進行について
近視の進行は長時間の近業にて眼球の奥行き(眼軸)が伸びてしまうことが原因です。
眼軸はいったん伸びてしまうと元に戻すことはできません。
眼軸が長くなればなるほど焦点が前にずれ、近視が強くなります。
遺伝要因
近年の報告では、
・両親が近視の場合:約8倍
・どちらか一方の親が近視の場合:約2倍
近視になりやすいとの報告があります。
近視進行の予防
「環境要因」による近視の進行は、日常の生活習慣を見直すことで防ぐことが可能です。
1. 「正しい姿勢」と「適度な明るさ」
背筋をきちんと伸ばし、目と本は30cm以上、話して読みましょう。
照明などを用いることで、光を一定に保ちましょう。
2. 適度に目を休め、運動もする
勉強や読書を1時間ぐらいしたら、10分間くらい目を休めましょう。
携帯型ゲーム機は一日30~60分以内にしましょう。
ゲームはする日としない日を決めて負担をかけすぎないようにしましょう。
携帯電話でのメール画面が小さいため、10分以上続けると目の負担は少なくありません。
最近、メールのやりとりを頻繁にすることで近視が進む例が増えています。
パソコンやデスクワークなどの近業作業のときは、
作業中にときどき遠くを見る。
意識的にパチパチまばたきをする。
目を上下左右にぐるぐる動かす。
などをすることで目の疲れもでにくくなります。
休憩時には、目をとじて休めたり,蒸しタオル等で温めて血行を良くするのも効果的です。
3.遠くを眺める、屋外で運動をする
雲や遠くの景色、星空などをボーっと眺める。
室内ではなく、屋外に出るだけでも効果が期待できます。
紫外線の中で最も波長の短い可視光線が近視進行抑制に効果があるという研究がなされています。
それは外出して太陽の光を浴びる=外で遊ぶ(2時間以上)と近視進行抑制になるといいます。
2時間以上外で遊ぶ子とそうでない子と比べて近視の発症率が3分の1との統計があります。
外遊びを増やすことによる近視抑制効果
屋外活動の時間が長いほど、近視発症のリスクが軽減されると言われています。
外遊びは子どもの健康にも大切なこと。これを機に、ぜひお子様の外遊びを増やしてみてください。
1日76分(1週間あたり約9時間)の屋外活動により近視の発症を50%減少
【近視治療】小児近視進行予防のために当院でできること
1. オルソケラトロジー
オルソケラトロジーとは、特殊なのコンタクトレンズを装用することによって角膜の形状を変化させ、近視を矯正する視力矯正治療です。
各国の大学や研究所で研究や報告がされており様々な文献において抑制効果が約30%と言われています。
自費診療となりますので、興味のある方は視能訓練士にご相談ください。
2. 点眼治療(低濃度アトロピン点眼)
低濃度アトロピン点眼治療は、シンガポール国際眼科研究所にて50〜60%の抑制効果が報告されています。
自費診療となりますの、興味のある方は視能訓練士にご相談ください。
3. 多焦点ソフトコンタクトレンズ
近くと遠くが見える二重焦点のコンタクトレンズは、近視抑制率32%とという報告があります。
当院で販売しておりますので、興味のある方は視能訓練士にご相談ください。
マイオピアマスターの紹介
当院では最新の医療機器(マイオピアマスター:大阪府初導入)を用いて、患者さんの近視の程度を詳細に把握・進行を評価しております。
近視では眼の長さ(眼軸長)が重要ですが、眼軸長が正常の成長曲線に比して長いのか、短いのかなど正確に把握した上で科学的根拠にもとずいて治療を提案します。
なぜ眼軸長を測定することが重要なのでしょうか?
通常、子供は生まれたときは遠視です。生後数年で眼球は焦点が網膜に合うまで成長し、正常な視力が得られます。
ここで眼の成長は止まるべきですが、眼の成長が続くと近視になります。
最も一般的な近視は、子どもが学校に通い始める頃に発症します(学校近視)。
学校に入学したときにはまだ少し遠視であったり、正常な視力を持っていたりしますが、その後の数年間で近視になります。その経過を記録するために、一定の間隔で眼の長さを測定する必要があります。
近視のリスク
近視が強いほど様々な合併症を併発するリスクが高くなります。
これらの合併症は、視力低下だけではなく、視野欠損(見える範囲が狭くなる)などを招くことがあります。
そのため見え方の質(Quality of Vsion=QOV)が低下し、生活の質(Quality of Life=QOL)を下げることにつながります。
進行性近視が原因となる最も一般的な関連疾患は網膜剥離です。
放置すると失明につながります。眼軸長の成長により、網膜にかかる引っ張る力がどんどん大きくなり、最終的には脈絡膜から剥離してしまいます。
-3.00Dの近視でも網膜剥離のリスクは10倍に、-6.00Dからは16倍以上にもなります。
進行性近視の二次的な病気としては、脈絡膜新生血管症(脈絡膜に新しい血管ができる)、網膜分離症(網膜の中心に隙間ができる)、後部ぶどう膜(後眼部の局所的なたるみ)、緑内障(視神経線維の死)、白内障(眼球の水晶体のかすみ)などがあります。
合併症のリスク
お子さんの近視リスクを知りたい方
お子さんが近視になるリスクを評価し、管理するための無料オンラインツールです。
是非ご活用ください
My Kids Vision
https://www.mykidsvision.org/ja-JP/risk-assessment
近視のリスク
近視について解りやすくまとめられている動画がありますので、是非ご参考にしてください。
進む近視をなんとかしよう大作戦(日本眼科医会)